お菓子の島 Filando - 平戸

九州の西の端、平戸は海に囲まれその立地から異国の文化の到着地でした。12世紀 栄西禅師により茶、禅も初めてここ平戸に到着します。その後16 世紀、ヨーロッパではフィランドという名で知られ、西洋の文化が次々と上陸、平戸は繁栄し西の都と呼ばれるに至りました。ヨーロッパからもたらされた様々な物の中に、砂糖がありました。

平戸を治めた松浦家29代当主、松浦鎮信のうち立てた、武家茶『鎮信流』と共に平戸の菓子文化は豊かに発達します。平戸は日本で初めてのお菓子の島なのです。(東西百菓之図より)

日本を代表する老舗菓子屋「蔦屋」

中でも最も古く文亀2年(1502年)に創業した蔦屋は、江戸時代には平戸藩主・松浦家の御用菓子として、 そして現代も平戸の人々に愛される歴史ある和菓子店です。 平戸名物として全国にその名を知られるカスドースをはじめ、 蔦屋が守り続けるのは代々に渡って受け継がれる“変わらない味”。 一つひとつに職人の真心を込めて、南蛮渡来の伝統菓子から季節に応じた創作和菓子までを提供しています。

カスドース 【平戸蔦屋】

異国文化がいち早く渡来した平戸の地で、400 年以上も愛され続ける平戸銘菓、それが蔦屋の「カスドース」です。

 

カステラを卵黄にくぐらせ、糖蜜で揚げたこの南蛮菓子は、ポルトガルの家庭で伝統的に食されてきたもの。その製法は、江戸時代にポルトガル人の宣教師から伝えられたとされています。
当時は贅沢品であった卵や砂糖をふんだんに使った蔦屋の「カスドース」は、殿様だけが食べられる“幻の菓子” と呼ばれ、明治以降には皇室献上銘菓にもなりました。
ふくよかな甘さが広がる黄金の銘菓を是非ご賞味ください。

カスドースと共に伝えられる茶の席の菓子「牛蒡餅」

牛蒡餅は、カスドースとともに「百菓之図」にも紹介された、蔦屋伝統の銘菓です。

中国からの伝来と伝えられ、平戸では古くから慶弔時や茶席での切り分け菓子として用いられてきました。黒糖を使った餅と上白糖を使った白い餅、現在はそれに加え抹茶の餅の3種類がございますが、昔は黒糖を使った餅のみで、牛蒡餅の名は、その姿がゴボウに似ていることに由来します。

蔦屋の季節のお菓子「桃の水大福」

蔦屋ではその季節の旬のお菓子を作ります。5月からは若い桃、「青桃」を使った「桃の水大福」です。

つるっ、ふわっとしたやわらくひんやりとしたお餅と、甘さを抑えた上品な白あんで、爽やかな青桃を包み込んだ逸品。完熟前の桃を水づけにし爽やかでみずみずしい食感に、餅は冷やしても固くならない工夫をこらし、つるっ、もちっとしたなめらかな食感が特徴です。笹で包まれ風情豊か、透き通るような純白生地の中の青桃がなんとも爽やかな夏の涼菓です。

初夏から夏にかけて平戸蔦屋の本店と佐世保店「でばた」のみで味わえます。

平戸 蔦屋本店「按針の館」